目に良い食品といえば、魚の目玉とか、ブルーベリー?
ドイツではそれは人参だ。人参が? 半信半疑な表情を向けようものなら、「君は見たことがあるかい、眼鏡をかけたウサギを」と諭される。なるほどねぇ…ってね、あ~た。
で、結局のところ真相はどうなのか。それに応える特集をやっていた。
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/wxr_detail/?id=20150106-00039977-r25
なるほどね。
ドイツに住まう私たち日本人が目を労わりたいなら、食品ももちろんだが、照明にも気を遣うべき。ドイツ人の碧い目にはなんてことないかもしれないが、私たち茶色や黒の瞳を持つ者には、夜のあの間接照明は暗すぎる。冬の夜長を読書で過ごそうものなら視力はどんどん落ちてゆく。
しかしそこで電灯の光量を上げたり、ランプを新たに持ち込もうとするや、ドイツ人は電気代が高くつくと騒ぎ出すに違いない。
倹約の精神が薄暗さに慣れる目と連携したのではないか? 高木の実を食べようとしたキリンの首が長くなったみたいに。足元のエサを食べようとした象の鼻が長くなったみたいに。あやつらは、電気代を最小限で済ませつつ読書に耽りたいと思い世代を重ねた結果、あの青い目になったのではないか? たとえダーウィンの自然淘汰説で考えたとしても、だからこそ青い目の人が生き残ったのではないか? と思いたくもなる。
しかしそこで罵り合っても仕方がない。私たちの視力を守るために和解の手口を探さねば。
冬の夜長は日本人には辛いが(北ヨーロッパでは季節によって日照時間が極端に違うため、ドイツの冬の夜は日本よりずっと長いくて、「辛さ」もその分長い。真冬のドイツは夕方4時には日が暮れて、朝の8時になってもまだ暗いから、実に16時間以上「夜」が続くことになる。…ま、夜中は素直に寝りゃよいのだが)、夏にはこれが逆転する。
青い目の人たちは、暗さに強いが明るさにはてんでダメ。
夏の始まりに、夫が、運転しながらサイドポケットやダッシュボードなどに手を伸ばし、「サングラスはどこだ…」と手探りしていることがある。
「もう掛けているわよ」と言うと顔面に手をやって、指がサングラスに触れて「おぉ」と声を上げたり。
明るいところで青い目は茶色い目よりずっと明るく感じるらしい。それは「明るい」というより「眩しい」に」相当するようだ。だから欧米人のサングラスはオシャレのためだけでなく身を守るための必需品だ。
冬の夜長に電気代のことで夫が騒ぎ出したら、「あなたが夏にサングラスを必要とするように、私は夜に明るさが必要なの」と言ってみるのはどうだろう。
…それで素直に聞いてくれるダンナは素晴らしい。たいていの場合は「電気代と私のどっちが大事なの?!」と叫ぶ事態に発展する。ドイツ人は頑固である。そんな質問で「君」とは言わないだろう。しかし日本人だって負けてはいない。最後にはパスポートを握っての口論となる。離婚か第三次世界大戦の始まりか。
ここで離婚に至らない夫婦は、のちになんとなく折り合いを見つけてゆく。第三次世界大戦に突入することなく。長い目で見る。これがドイツでは大事かも。
ちなみに、ドイツ人は人参好きだが、これは目に良い食品だからと無理して食べているわけではない。
日本の人参と比べてドイツの人参は淡白で食べやすいのだ。
なので人参嫌いな子どもというのもあまり聞かない。
生の人参をほおばるのが好きな大人も結構いる。
ま、ベジタブルスティックなど見た目もキレイでなかなか美味しい。
しかし、いつだったかドイツ人たちとドライブに出かけた時、「おやつを食べない?」と提案したひとりが、リュックサックから取り出したのはスーパーで売っている人参の袋で、取り出して勧めると、みんな嬉しそうに受け取って、ほおばりだしたのには驚いた。
ボリボリ、ポリポリ、車の中に軽快な咀嚼音がなり響いていたが、あれは目のためではなく、単に好きなんだな、人参が。