土用の丑の日(どようのうしの日)

(この記事は2014年7月31日 にべるりんねっと789の コラムに掲載された内容です。)

 

日本は昨日、土用の丑だったそうだ。火曜日なのにね。そして土用の丑の日にはウナギを食べるのだ。牛ではなく。
何故なんだろう…とネットで調べたらウィキペディアにこんな一文。

日本で暑い時期を乗り切るために栄養価の高いうなぎを食べるという習慣は万葉集にも詠まれている古いものだが、土用の丑の日に食べる習慣となったのは、文政5年(1822年 – 1823年)当時の話題を集めた『明和誌』(青山白峰著)によれば、安永・天明の頃(1772 – 1788年)よりの風習であるという。

なるほどね。「日本で暑い時期を乗り切るために栄養価の高いうなぎを食べるという習慣」かあ。
ではドイツで暑い時期を乗り切るための習慣として、土曜日には牛を食べるということにしよう。金曜日は魚だしちょうど良いではないか。
万葉集の向こうを張って何か詠まなくては、
まずはその元となった歌は、こんなの。

石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻とり食せ

「鰻とり食せ」は「むなぎとりめせ」と読むそうだ。なので字数もぴったり合っている。
大伴家持が詠ったもので万葉集登録番号「巻16‐3853」だそうだ。
大伴家持が吉田連老なる人物に贈った歌で、石麻呂というニックネームの吉田さん、大変痩せこけた人だったとか。それを心配した家持が、夏痩せに良いらしいからウナギを食べて~と提案する、愛情あふれた歌なわけだ。
ふむ…向こうを張れるほど良い歌が浮かばないが、夏痩せにだったら絶対効果があるに違いないから「牛もとり食せ」である。
ところで、鰻と言えば鴎外。このあいだ東京に行っていた日、一足先にウナギを頂いた。鴎外荘に泊まっていて、懐かしい人たちと再会して、鰻の話題が出たことと、鴎外が好んで通ったという鰻屋さんが今もあると聞いたことが重なって、ではでは鰻を食べに行こうということで、みんなでゾロゾロ、歩いて出かけた。
先日の不忍池の巨大な蓮の葉の群生はその時に撮ったもの。
鰻屋さんの名は「伊豆栄」。
ワクワクしながら行ってみてビックリ。
私のイメージはこれ
しかし行った先にあったのはこれ
なぜか心に浮かぶは♪ほんに先斗町の「いづもや」で~♪
エレベーターで7階だか8階だかにまで上がる(どの階も伊豆栄でみんな鰻を食べている様子は広島のお好み村状態)。
食べた鰻。美味しいです…うるっ。
注文するとき、「松竹梅」の3種類があって、私にとってはおそらく生涯でたった一度の体験だろうし、見栄を張って「松」かな…と思っていたら、みんなが「梅」で十分と。
0731それで「梅」になったが、食べながら、これでこれだけ美味しいなら、「松」のお味はいったいどんだけ~と思ったものだったが、一緒に行ったお友達の一人がメールをくださって、そこに鰻が美味しかったねと、「伊豆栄」のウンチクの書いたページを知らせてくれて、それをクリックしたら、そこに「松竹梅」と3種類ありますが、これはうなぎの質ではなくて大きさが違うだけ」と。
ではヨカッタ。伊豆栄の鰻を存分に楽しむことができたわけだ。
というわけでこの写真はそのときのもの(フラッシュたかなかったから黄ばんでしまった)。「松」だったら下のご飯は見えなかったのだろうなあ。