ニンニク

ニンニクを買に出かけた。
よく見かけるネットに入ったのが売り切れで、カゴに入ったのがあるばかり。
高い…。
けれども今日はニンニク不可欠のお料理を作る予定。
買わないわけにもいかない。
他のスーパーに探しに行く時間もナシ。
それでしぶしぶ、カゴ入り娘、高価なニンニク様を買うことに。
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小粒だし皮をむくのも大変そう…と思いながらナイフで皮を引っ張ると、カサッと。
あら。

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剥いてビックリ。
一個に一粒!
グリコのアーモンドキャラメルはね…あ、そんなことはどうでもいいか。
なんと便利なニンニクでしょう。一粒が皮いた殻に包まれた、一粒ニンニクだった。

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☝後日、いつものネット入りと比べてみる。
上部のモコモコ、雲の形をしたのがいつものニンニク。
いつものニンニクの一粒より、一粒ニンニクの粒のほうがはるかに大きい。
なので使い勝手ではお高いだけの価値アリ。

あ、そうそう、ニンニクといえば、こんなことがあったっけ。

柔らかい牛肉が手に入ったので今夜はステーキだ~と、下ごしらえをしていたある夕べのこと。
調理の途中で気がつく。「あ、ニンニク買い忘れた」

いつもニンニクを保管している引き出しを覗くと、かさかさと干からびた白いひだの間に小さな小さな欠片がふたつ、いつからそこに居るのか、捨てられず使われず、潜んでいた。

まったく無いよりマシだがこれではとうてい足りない。かといって今から買い物に出かける時間もない。そこで呼ぶはスーパーマンなわけはない。御用聞きでもない。娘の名だ。
バターが、たまねぎが、サラダ油が・・・と、困った母親のために隣に無心に出かけてくれる私の愛する御用聞き、いや、これぞ真なるスーパーマン。
上の娘は「自分で行けば?」と冷たい視線で母親に言えてしまえるお年頃に成長してしまったが、下の娘はまだ私の願いを素直に叶えてくれている。

出かけて何分もしないうちに戻ってきた。
なんとなく妙な気配。
肉を叩く手を止めて、「お留守だった?」と聞くと「居たけど・・・」という。「お隣さんもニンニク切れだった??」

隣の奥さんはフランス人である。だからなのか知らないが、何から何まで粋である。
たとえば庭ひとつを取っても「隣の芝は青い」と言うが、隣の芝は本当に青い。
我が家の「芝生」は数年の間に「野原」みたいになってしまったが、お隣は今でもまだ「芝生」のまま。
それに我が家がしその種を植える頃、彼女はお花の鉢を植え、私がスーパーで買ったネギの根元を切り落とし、庭に突っ込むとまた生えてくるともくろむ頃、彼女はアイリスの花を庭に挿し、垣根越しに目が釘付けになるほど様々な花が所狭しと咲き誇り、天国とは、極楽とは、こんなところなのではないかと感嘆させるのだ。
家の中も、家具もオブジェも、その好みから置き方まで、何気にどこか粋でオシャレで、お料理も気が利いている。
バーベキューの季節、我が家が鯖の脂でのろしを上げる頃、お隣は網にアルミの包みを乗せ、スズキのワイン蒸し焼きを焼いていたりする。

そういうお宅だからニンニクは常備品かと思っていたが、無いものもあるのか…。
「そうじゃなくて…」と、うつむき加減に呟きながら帰ってきた娘は、戸惑いながらある物体を差し出した。

 

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「な、なんだこれは」
「これニンニクだって…」
「ニンニク…」
「新鮮だって言ってた」

たしかにこれ以上新鮮てのはないのだろう。
しかし、どうやって使うのだ?
断面が見えているがニンニクをほじり出した形跡はない。断面に沿うように数枚切ってみたが、皮も一緒に切って、そしてその後どうすりゃよいのだ??
そういえば、いつだったか、タマネギが~と借りに走らせ、娘が持ち帰ったのはエシャロットだった。
なにせ根がフランス人だから買うものも使い方もきっとちょっと違うのだろう。

数切れ削いで、娘に返しにやらせた。
「使わないで返すの恥ずかしい」と娘はのたまう。
「使ったわよ。十分使わせてもらったわ。全部もらっちゃうとお隣も困るから、ありがとう、助かった!としっかり言って返してね~」と送り出した。

実際には使っていない。
そしてこのことを、べるりんねっと789のコラムにしたため、この物体の使い方の教示を乞うた。
すると早速、昔フランスに住んだこともあるという方からメールを頂いた。

あの皮の部分もそのまま調理に使えるそうだ。
それでほじった形跡が無かったわけか…。
なんでもおフランスでは、新鮮なニンニクは皮まで食べるのだそうだ。生でかって? …そこまでは知らない。焼く方法は確実にある。こんなサイトがあるから。http://cuochedellaltromondo.blogspot.com/2009/03/aglio-fresco.html
なかなか美味しそうではないか。
なになに、レモンタイムをオレガノを乗せ、Fleur de selなる塩をふりかけ、オリーブオイルをたっぷり振って、180度のオーブンで30-40分。肉料理にピッタリだそうだ。
娘にFleur de selを借りにやらせなければ。読み方が分ららないが、きっと特別な塩にちがいない。

…というわけで、ニンニクのお話でした。
ちなみにニンニクの皮を剥くのが大変なときの便利グッズ。
ゴム製の筒だが、筒の中にニンニクを入れて、筒を手で押さえてゴリゴリと押しながら転がして取り出すと、ツルリと皮がむけているというスグレモノ。

 

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