素晴らしいニュース。
『舞姫』草稿を跡見学園が買いとったとの報に心から安堵。
べるりんねっと789のコラムにも触れたが、3月に国際古書市が開かれ、『舞姫』草稿が売りに出ていた。
お値段ピッタリの4644万円! どこがピッタリかよく分からんが。
5千万円を切るという中途半端な金額で、もし奇特な銀行が現れて私にローンを組ませてくれたら、私が買いたい…と思ったほどで、密かに心配していたことがあった。
それはどこか外国のお金持ちが気まぐれで買ってしまうこと。そんなことになったら、その後どこに行ったかウヤムヤになってしまうのでは…と気が気ではなかった。
それで私のとった手は、津和野の森鴎外記念館の副館長さんに、町か館で買えないかと泣きつくことだった。町興しになるよ~、国の財産だよ~、どこかのお金持ちが買って金庫にしまい込んじゃったら二度と観られなくなるよ~、『舞姫』は鴎外が生涯忘れなかった辛い辛い初恋のお話なんだよぉぉぉ~(涙)。ご本人にどう伝わったのかは定かでないが、とにかく私は必死。町長さんや館長を説得して~懇願しまくったものだった。
津和野の館長は山崎一穎先生。すなわち跡見学園の理事長。なぜ彼に直談判しなかったのかというと、彼は古き善き文学者。通信は便箋に万年筆。メールアドレスをお持ちではなく、古書市は数日だけの催事で 手紙を出しても間に合わなかったから。
売れなかったんじゃないかな…。そんな噂を耳にして、まずは安堵した。
ところが昨日、「今日、朗報があるかも」と新たな風の噂。
果たしてそれは、『舞姫』草稿、跡見学園がお買い上げの報だった。
これは嬉しい。この記事良いですね~(うるうる)。こちら。
早ければ、この秋文京区立森鴎外記念館で公開されるそうだ。メデタシメデタシ。
以下は復刻版として出版されたコピー本の一ページ。
(以下は2015年3月10日(火)付けのべるりんねっと789コラムから)
東京で開催された国際稀覯本フェア、『舞姫』草稿が売りに出て個人的には大騒ぎだったが、東京の知り合いが展示会に行ってきたと、ご報告くださった。
実際に手に取ることができると報じられていたので期待して行ってみたが、ガラスケース越しの御対面のみで、大いに期待外れだったそうだ。ほかのものはケースから出してくれたが『舞姫』だけは特別扱いだったとか。
昭和35年に300部だけ限定非売品として作られたというレプリカ本がガラスケースの上に置いてあり、そちらを見て下さいということになっていたらしい。
さて肝心の『舞姫』草稿オリジナル。
知人はこのようにコメント。
とてもきれいに保存されていて、ビックリするほど鮮やかな墨の色でした。
実際は、赤で書かれたモノもレプリカ本は黒の印刷になっていたような気がします。
本物の稿本は、丁寧に別の紙で補強?してありました。
でも、鴎外の草稿って、もっと直しも少なくきれいに清書してあるのかと私は想像していましたが、案に相違して、結構直しの多いグチャグチャした草稿だったので、意外でした。 独逸日記のように端然とした清書風のモノを想像していたんですよね~。 あの草稿でしたら、鴎外の推敲過程がよくわかって、面白いでしょうね。 レプリカ本でも、その点は楽しめました。
また、『舞姫』草稿の解説が置かれていて、「もしかして六草さんの参考になるかも」と熱心に書き写してくださっていたら(感涙~)、お店の人が「もう展示も終わりますし、このままお持ちになって結構ですよ」と紙ごとくださったのだそうだ。
そこには草稿の内容が古書の達人の視線で書かれ興味深い。