熊本に行ってみた。(その3)

 

「ソルト・ファーム 塩工房」の店内に入ると、いろんな塩プロダクトが並んでいた。

あたりまえ。塩の専門店なのだから~。

壁に雄大な海の景色の写真が飾ってある。こういう場所で採れた塩ということかな??

 

目の前の棚には、「通詞島の釜炊き塩」と書いた塩の袋が並んでいる。

「通詞島」で採れたということか。「通詞島」…なんて読むのだろう??

 

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そこで男性に、

「”つう…し、ま”? で、採れた塩ですか?」

「ええ、”つうじしま”で作っている、手作りの塩です」

手作り…!

塩は作るものなのだ…。「塩は買うもの」と思っていた私は、ちょっと感動。

実は私、けっこう塩好き。

10年以上前、お友だちからフランス・カマルグ産の「フルール・ド・セル」塩をお土産に頂き、塩の美味しさを知ったのをきっかけにこだわりはじめ、日常使いも有名産地の自然塩を調理のたびにミルで挽いて使っている。そうそうベルリンで開かれた世界の塩展覧会にも足を運んだ。塩の洞にも座ったぞ(笑)

沖縄に行けば雪塩を、四国を訪ねては宇和島は蒋渕(こもぶち)の藻塩や伯方の塩を、一昨年のポーランド旅行でもクラクフのヴィエリチカ岩塩を味の思い出に買って帰った。ヒマラヤの塩のピンク色に魅せられて何キロも買い込み愛用していたが、昨年、岩塩と海の塩はミネラルの含有率が断然違い、海の塩のほうが良いと聞いて大ショックを受けたばかり。通詞島の塩はきっと海で採れた塩。それも手作りとは、なんてよい響きなの~。

 

がしかし、目の前にあるこの袋は、手に取るとずっしり重い。裏を返すと内容量は400gと書いてある。

隣の小ぶりな袋も意外に重い。こちらは200gと書かれている。

 

重くてはベルリンに持ち帰れない。

スーツケースの許容量は総重量で23kg。スーツケース本体や衣類や化粧品などでかなりの重量となるので、お土産選びは重さにたいして敏感になる。

塩の袋を掌に載せては上へ下へと高さを変え、重さを推し量る。

男性には挙動不審に映っているにちがいない。

そこで男性を振り返って、「旅行中なもので」と言い訳をした。

しかし口に出してみると、観光客はみな「旅行中」なわけで、塩の高さを変える理由になっていないと思い直す。

そこで、海外に住んでいると伝えた。するとお里帰りですかと訊ねられ、実家は大阪で、四国に行った帰りにここに寄ったと言った。

すると、驚いた表情になる男性。

「八幡浜から別府にいく船があって」と言うと、「別府から熊本まで?!」とさらに驚かれ、「いや、あの、その…、熊本に観光に来るだけで震災の復興支援になると…」と言いかけて、「インターネットで読んだものですから…」の一言を、来ちゃったことの言い訳に使った。

すると男性はとつぜん、驚いたままの表情を店の奥の方へ向けて「おい! わざわざいらしたそうだ!」と声を投げた。

今度は私が驚いて、男性に視線の先に目をやったが、誰かいる様子がない。男性は何度も、おい、おい。と声をかけてる。しばらくして女性らしき姿が見え隠れした。

女性は呼ばれていたことにまったく気づかなかった様子で、男性はもう一度声をかけ、振り返った彼女に、「この方はわざわざ熊本にきてくださったって…」と、私のことを説明した。

するとこの女性も同じように驚いて、「どちらからいらしたのですか?」と訊かれたので、条件反射で「ドイツから」と答えると、「ドイツ?!」ともっと驚かれて、「ドイツからわざわざ熊本に」というのは大げさすぎるので、「実家が大阪で」と言ったが、それでも「大阪からわざわざ」になってしまうから、「愛媛県の宇和島に用事があって、松山経由で帰るところをこちらに回ることにして…」と「ついで」であることを添えたが、彼女は「わざわざ熊本に来てくださったのですか。嬉しい~!!!」と、泣き出さんばかりの表情になった。

え? 喜んでくれている?? 喜んでくれているの?!

ふえ~ん。なんて嬉しいことだろう…!!

私も泣きたくなるほど嬉しかった。そっか、私は来ても良かったんだ…。

しばらく言葉を交わし、私が到着したばかりで唐人町通り以外はまだ何も見ていないことが分かると、女性は、弟の車で連れて行ってもらうと良いと提案した。

弟とは、目の前にいる男性、私を店に招き入れてくれた人物のことだった。
それは申し訳ない、そんなことはない、のやり取りがあったのち、私は弟さんの車で、市内をざっくりと見せていただくことになった。

 

まず通ったのは、「 “あんたがたどこさ” ゆかりの橋」の「船場橋」。
あまりに近く、突然通り過ぎ、車を横付けする場所もなかったため写真を撮ることが叶わなかった。後でまた来よう~とチェック。

 

それから熊本城のほうへ向かった。
前方に見えるのが熊本城。

 

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車を停めて待っていてくださったので、像のところに行ってみた。

 

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肥後熊本藩初代藩主、加藤清正の像。
緑が深く、何千ものセミが大合唱。

 

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加藤清正像の背後に、城の石垣が崩れ落ちているのが見える。

 

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ズームで撮るとこのような感じ。

 

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すこし先に進むともう通行止め。
城を大きく回り込むようにしてまた家並みの景色に。

 

熊本で最も有名な老舗書店『長崎次郎書店』。

 

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長崎次郎書店は明治7年創業。県内で最も古い書店だそうだ。

こうして町を一巡して、「ソルト・ファーム 塩工房」に戻ると、今度は女性が、せっかくだから唐人町を案内しましょうと誘ってくださった。

この女性がとても魅力的な人物で、地元の歴史をいろいろご存じであることが伺われ、断る理由が見つからない。素直に喜んでお願いした。

 

そんなわけで、今度はこの女性と町を巡ることになった。

想像をはるかに超えた、智と笑顔に溢れた冒険散策が始まった。(その4へつづく)

 

‐‐‐熊本に行ってみた。‐‐‐
その2 ∞ その3 ∞ その4

 

その1:熊本駅まで。
その2:唐人町での不思議な始まり
その3:「弟さん」とのドライブ
その4:唐人町散策
その5:古町散策
その6:熊本城から熊本駅まで。